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 釈尊の幼名はゴータマ・シッダッタ(悉達多)ですが、ゴータマは姓で「最もすぐれた雄ウシ」を意味しています。この姓は当時の部族社会での動物崇拝、とくにインドでは牛に対する崇拝の念がありましたのでこの姓を名のり、またシッダッタ(悉達多)は「目的を達成する者」という意味があり、その将来を期待する名がつけられています。

 当時のガンジス川中流地域ではクシャトリア階級が社会の実権を握るようになっていましたが、群雄割拠で小国が互いに勢力を競っていました。そんな状況のなかで悉達多太子は生まれましたので、理想の王となって国家統一をしてほしいと転輪聖王への期待がありました。
 しかし、釈迦族の勢力を考えますと国家統一することよりも、思想・宗教の混乱を解決し真理を悟れるものとなって人々の救済に努めてもらいたいという仏陀への期待もあったのです。

 父のスッドーダナ(浄飯王)はシッダッタの性格が沈思黙考型であったので、その性格を明るくするためにあらゆることをしましたし、太子もその期待にこたえて文武両道にすぐれた能力を発揮されたことはすでに述べたとおりであります。
 釈尊の太子時代の記述は多くありませんが、父のスッドーダナは太子のことを心配して早く結婚させようとします。妻を選ぶのに武芸で競い勝利の結果彼女を得たとか、多くの女性を集め、その中から太子が選んだとかの説話も多くありますが、太子が16歳のとき3人の妻があったとされています。

 多くの美女にかしずかれ、豊満な姿態を目のあたりにしながら恵まれた生活をしていたことが記述されています。当時のクシャトリアは妻を多数もつのはあたりまえの一夫多妻社会でありましたので、太子もそのような環境で日々を送っていたのです。
 早く太子が結婚することを願っていました父王は、太子に理想の女性をたずねますと太子は細工師に命じて黄金の女性像をつくらせて父王に渡します。早速その像に似た女性を探させますと、そっくりな女性がいました。

 ダンダパーニという富豪の娘ゴーバーで、稀にみる美人でありました。このゴーバーはむかしむかし、然燈仏の世に修行中の太子から仏にささげる青蓮華をわけてほしいと頼まれてその華を譲る条件に、のちの世で妻にしてほしいと願っていた王家の娘だったというのです。
 過去世の因縁により太子の妃となり、太子によくつかえ、太子出家ののちも第一妃のヤショーダラーを守護しました。早逝しますが生前の功徳によって三十三天(トウリ天)にのぼったといわれています。

 第一妃となったのは釈迦族の一門でスプラブッダ(善覚)王の娘ヤショーダラーです。提婆達多や阿難陀の姉でのちに釈尊との間にラーフラ(羅睺羅)が生まれます。この女性と太子は前世でも夫婦でありましたが、一緒に山野で暮らしていた時、食べものの怨みから何をもらっても満足しなくなってしまった女性で、誇り高い性格だったとされています。

 王宮で不自由なく快楽に満ちた生活をしていた太子ですが、毎日が快楽であればあるほど、城外の悲惨な生活、生老病死に苦悩する人々のことを知り、この生老病死の苦悩を超越する出家の道にすすみたいと思うようになりました。
 そうした時に王子の出生の知らせを受け「私に新たなラーフラ(妨げ・障り)が生まれた」と太子は叫んだということです。それでラーフラ(羅睺羅)と名付けられましたが、この意味は障害とか悪鬼ということで束縛するということです。
 この子も後に釈尊の弟子となり少年僧として父のもとで薫陶を受け、よく学び怠らず精進し解脱します。

 さてラーフラが誕生し王家に継承者を得たことにより釈尊は出家の決意をかため7日目の未明に宮殿を出たといわれています。太子が出家して馭者と馬だけが戻ってきた時父母妃たちは嘆きましたが、ヤショーダラーの悲痛憤懣は大変なものであったと伝えられています。
 太子が1人で出家したことを恨んでいましたのに、のちに12歳になったラーフラまで出家して釈尊にうばわれてしまいましたのでヤショーダラーの嘆きは深刻でありました。

 第三の妃については、釈迦族カーラクシューマの娘でマノーダラーでありますが、父が釈尊に精舎を建て供養したことくらいで伝承がありません。早く離別したともいわれています。

 若き日の釈尊には3人の妃があり、それぞれ別の宮殿に住んでいて、各宮殿は三重の門があり武装兵士によって警護されておりました。釈迦族の生活水準はかなり高く太子は幸福な日々を送っておりましたが、ラーフラの出生をチャンスに出家してしまったのです。



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