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 大乗仏教が華々しく展開されて、多数の経典が生まれましたが、大乗思想を哲学的に理論づけたのが竜樹であります。以後の大乗思想は、その理論の基礎のうえに展開され、無着、世親、陳那などの有名な思想家にうけつがれ大乗仏教が世界に発展していきました。

 竜樹のことは、鳩摩羅什訳「竜樹菩薩伝」に書かれておりますが、南インドに生まれ部派仏教の伝統の中で学んでいましたが、のちに大乗に転じ、大乗経典のあらゆる思想を研究しました。しかし、「竜樹菩薩伝」には若き日の奔放な生活が記されているだけで正確な年代は不明ですが、二~三世紀ごろの人物であり大乗仏教の理論を大成、空思想を哲学的に基礎づけ、後世の仏教に大なる影響をあたえましたので、中国や日本では「八宗の祖師」とされています。

 著作と伝えられているものは漢訳のものばかりでなく、チベット大蔵経の中にも百部ちかいものがあり、特に有名なのは「中論頌」「大智度論」「十住毘婆沙論」などです。

 竜樹は「中論頌」で「一切法は、起の道理に基づいて成立している。縁起とは、ある法が他の法との関係において成立するということであるから、いかなる法も、他と無関係にそれ自体、独立した性質のものとして存在することは不可能である。ゆえに、自性がない。自性がないから、一切法は空である」としていますが、これは「般若経」の思想を更にすすめて、空の根拠として縁起の論理的意義をあきらかにしたものです。

 空とは一切法が因縁によって生じたものであるから、そこには本体とか実体というべきものがない。それを「一切皆空」「一切法空」「諸法皆空」といわれているのです。
 「空たること」という空の本質のことを「空性」といい、空と空性は同じように使われていますが「空性」がより原意であり、空観といわれるのは一切を空であると見る実践的観法をさしています。

 ところで縁起は因縁生起でありますから、業の因果律と輪廻に束縛されています。これが迷いの原因ですから、仏教ではこの束縛を解脱して無限の悟りの世界に入ることを目的としていますので、縁起の諸法も、それ自体が迷いとして否定されなければなりません。
 このことについて竜樹は「輪廻と涅槃はいささかも相違なし」とはっきり断定しています。つまり、涅槃という特別な実体があるわけではなく、一切法が空であり、不生不滅であることが涅槃であるとしており、縁起によって迷悟不二を理論づけているのです。

 さらに諸仏は二諦によって法を説くとして、最高の真理である真諦(勝義諦)と世間的真理である俗諦があり、仏教の究極の真理は「空」であって、ことばの表現を超えたものであるが、「空」を表現する手段として俗諦である言語が必要だとされています。
 竜樹の確立した教学は大乗仏教全体の基礎となる教学で「八宗の祖師」とされました。

 さて、竜樹以後四世紀ごろに「解深密経」が作成されております。この経に三時教といわれております学説が述べられております。
 第一時は小乗の徒のために四諦などを説き、小乗仏教がさかんとなるが、複雑な法の体系ができ、自性説をたて諸法の本体を実在視して未完成な教えを説いたので論争が起きた。
 第二時は「般若経」、竜樹は空の思想で小乗を批判し、法の自性を否定したが体系を構成しなかったので虚無論の論争が起った。

 第三時は「解深密経」で空の思想を根底に、小乗仏教の教義を採り入れて大乗の教義を組織したので完成された教えであるとしています。竜樹の思想で実体のないものを仮といっていましたが、仮は空と同義語でありました。しかし、竜樹は言語的表現を便宜的なものとしていましたので教義の体系を構成しなかったのです。
 ところが「解深密経」では、真理の言語的表現の意義を認め、小乗仏教の教義も大乗の中にとり入れ、大乗の教義として再生されたのです。

 これより大乗仏教は中国、日本へと伝わっていきました。


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