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 歴史上の人物としての釈尊が伝道された「ことば」は多くの人びとの記憶によって語りつたえられましたが、完全なかたちで釈尊の「ことば」が残されたというものはどこにも存在しておりません。釈尊の「ことば」が記述されたのは随分の時を経過したのちのことで、釈尊滅後百二十年もすぎてからのことでありました。
 それはアショーカ王の時代になってから、紀元前二七〇年以降に「原始経典」とよんでいるものが成立しています。大勢の出家修行者が集会をもち、釈尊の「ことば」をあつめ聖典として編纂され経典がつくられましたが、この結集は何度もおこなわれ数多くの経典が成立しました。そして、この経典を中心に教団が運営され、この経典を至上のものとして尊重する保守的立場の上座部の僧たちと、時代の推移とともに経典の解釈や戒律のあり方をめぐり、新しい思想を展開する僧や信仰者が出現して仏教教団は分裂しました。

 上座部のことを部派仏教とよんでいますが「阿含経」を仏説として信奉し、煩悩を滅しつくして自己の解脱をすることこそ仏教修業の究極の目的であるとしましたのに対し、大乗仏教を主張する立場では「六波羅密」つまり、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、般若の徳行を完成し、他者の救済に徹することが釈尊の大慈悲であり仏道修行の目的であるとしています。

 最初に成立した大乗経典は「般若経」で、部派仏教の教理を声聞乗とよび、自利・利他のちがいを明らかにしていますが、「阿含経」の仏説としての価値を否定するものではなく、戒律のちがいが争点でありました。
 しかし、そのうちに「般若経」や「阿弥陀経」の信奉教団が大勢力をもつようになり、紀元百年頃になると、出家者中心、出家者本位の部派仏教を小乗として、一切衆生に成仏を教え、大衆の救いを強調する菩薩信仰を尊重する大乗仏教が部派仏教と対立するようになりました。それは釈尊滅後五百年を経た頃のことです。

 僧団中心の保守的な権威を保持する部派仏教にも満足することができず、また「般若経」や「阿弥陀経」の主張にもついていけない思想をもった両者の対立を越えて、両者を統一しようとする動きがインド文化圏の中で出現します。
 一切衆生悉有仏性という「仏性の平等授記」を信奉し、釈尊を渇望して、その功徳は釈尊滅後の世界にも普及し、一切衆生を救済すると信じる仏教修行者たちがあらわれたのです。深い瞑想の中で教主釈尊の非滅現滅=永遠の存在=を体得し、「諸法の実相」は誰でも何でも「平等に仏性」をもつと感得した人びとによって「法華経」は成立したのです。

 「諸法実相」=何でも誰でも平等に「仏性」をもっていると説く法華経は、「法華経薬王品」に「後五百歳」という文字がありますが、釈尊滅後の五百年(一一四頃)から竜樹の時代(二五〇頃)までに成立しています。


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